筋トレは美容や脳にも効果的

筋肉は、エネルギーの最大消費者です。筋肉が増えれば代謝が上がります。筋肉が一キログラム増えると、代謝が一日当たり五〇キロカロリーから六〇キロカロリー増えると考えていいのです。しかも、これはあくまで安静時代謝ですから、筋肉を積極的に動かせば消費カロリーはさらに増えます。

筋肉は何もしなければ衰えますが、鍛えれば年齢に関係なく増やすことが可能です。さっそく、あなたに合った筋トレを始めてみてください。

筋肉が増えれば、たくさん食べてもエネルギーになりやすくなるので、太りにくくなります。健康維持・増進のためにはもちろん、全身的な美容という点でも、効果的といえるのではないでしょうか。そして、何より、筋肉が衰えなければ若々しく見えますし、おのずと活発になります。活発になれば、そこでまた代謝が進むという好循環が生まれます。

しかも病気を寄せつけない健康体になります。加齢とともに減退していく内分泌系の働きを活性化させるからです。

年齢を重ねると、成長ホルモン、性ホルモン、副腎皮質ホルモンなど、いろいろなホルモンの分泌量が下がってきます。ところが、筋肉をよく動かすことで、内分泌器官の働きが活性化され、前述のホルモンの分泌量が上昇します。成長ホルモンで新陳代謝が高まれば、全身細胞が活性化されると考えられます。

また、現在は研究段階ですが、筋トレによって、脳の神経細胞に働いて保護するような物質が筋肉から直接分泌される可能性もあることがわかってきました。研究段階とはいえ、システムとして考えると、ありそうな話です。

筋トレをすると、筋肉が運動するためのエネルギーが必要になります。筋肉は、エネルギーが欲しいという信号を物質として出し、それが脂肪に働いて脂肪の分解を促すことで、エネルギー源として筋肉に供給されます。

運動をする前後の栄養補給で効果はさらにアップ!

運動を始めるようになると、すぐに目につくのが「BCAA」などと書かれたドリンクやサプリメント類です。こうした栄養ドリンクやサプリメントはどれくらい有効なのでしょうか。栄養補給によって、筋肉を維持したい、より確実に増やしたいと考える場合、ニつの戦略が挙げられます。

「ひとつは、筋肉の分解を防ぐという目的。筋肉の15パーセントから20パーセントはBCAAという分岐鎖アミノ酸で構成されていますから、これが含まれているアミノ酸サプリメント(ごくありふれた一般的なサプリメントで、ドラッグストアならどこでも売っています)を運動前に摂るという方法です。

先にアミノ酸やたんぱく質を補うことで、かなりハードな運動をしても筋肉のたんぱく質の分解は抑えられます。筋トレは無酸素運動ですから、脂肪は消費されません。その代わりに、糖と筋肉をつくっているたんぱく質をアミノ酸に分解してエネルギー源とするのです。そのたんぱく質を事前に補っておこうという戦略です。

BCAAは、筋肉のたんぱく質をつくっている主要なアミノ酸であり、筋肉のたんぱく質が分解されると出てくるものでもありますから、これを先に与えておけば、筋肉は分解されにくくなります。

運動前はあまり胃にもたれるようなものは食べないほうがいいので、ほんの少し、こうした栄養を含んでいるゼリータイプのもので補うというのもひとつの賢い戦略です。

もうひとつの戦略は、筋肉の合成の促進を目的としたものです。それには、運動後、できるだけ速やかに、できれば30分以内に、たんぱく質を豊富に含む食品やサプリメントをしっかり摂ることが求められます。早ければ早いほど、たんぱく質の合成を高めると考えられています。いわゆるプロテインはまさにそのためにあるわけですが、たとえば、牛乳など高たんぱくの飲料でも構いません。あるいは、ヨーグルトやチーズなどの乳製品でも構いません。

筋肉量を増やすとはどういうことか?

さて、ここから、あなたにふさわしい、あなただけの運動メニューを探っていきます。とくに筋トレは、無理をすれば筋肉を壊してしまいますし、逆に軽すぎればほとんど効果が見込めません。あなたにふさわしいメニューでなければ、「やる意味がない」とさえいってもいいでしょう。

それを理解していただくために、これまで何度もくり返してきた「筋肉量を増やす」「筋肉を太くする」という事象について、もう少しだけ説明することにしましょう。

さて、私たちの体には、いったいどれだけの筋肉があるかご存じでしょうか。人間には、主なものだけでも400の筋肉(骨格筋)があります。重さでいえば、30歳の男性なら、体重の40パーセントから45パーセントが、女性なら、20パーセントから40パーセントが筋肉です。

体重70キログラムの男性では、28キログラムは筋肉ということ。これが年齢とともに減り続け、70歳代で約三分の二になります。28キログラムの筋肉が19キログラムになってしまうということです。もし、体重が変わらなければ、そのぶん筋肉以外のもの、そう、体脂肪が増えたと考えられます。

体脂肪が増えるのは、摂取カロリーオーバーという現実もあるでしょうが、筋肉が減少することも、その大きな原因です。若いころに比べて急激に太れば、その太ったぶん以上に、筋肉も脂肪に置き替わっている可能性もあるので、とくに注意したいものです。エネルギーの最大消費者である筋肉が減るのですから、それだけエネルギーは体内にため込まれます。人間の体はとてもよくできているので、もっとも効率のいい脂肪という形でため込まれるのです。

同じ体重でも筋肉が減れば、それだけ代謝が悪くなり、痩せにくい体になってしまうということです。そこで、筋肉を増加、維持することが大きな課題になりますが、そもそも「筋肉量を増やす」、あるいは「筋肉を太くする」というのはどういう現象なのか、ぜひ理解しておいてください。

有酸素運動は心拍数100から120でおこなう必要がある

筋トレのあとは、そう、有酸素運動をおこないましょう。有酸素運動も、効果的におこなうにはコツがあります。

筋トレをすれば、成長ホルモンやアドレナリンが分泌し、脂肪が分解します。分解した脂肪を燃焼させるのは、六時間以内なら確実でしょう。

筋トレをしたという体の状態は、自動車でいえば、すでにエンジンが暖まっている状態です。通常、有酸素運動の最初の15分から10分はエンジンを暖める途中みたいなもので、脂肪はあまり燃えません。しかし、筋トレでスタンバイの状態にしてあれば、即、燃やすことができます。さらには、一度エンジンを切って、少し時間が経ってからエンジンスタートさせても、すぐスタートアップします。いったん暖まったあとは、ひと休みして水を補給しても、純粋に少し休んでも何の問題もないのです。

ある研究室では、一時間の有酸素運動をおこなうのと、20分やって10分休み、また20分やって10分休み、また20分やるというように、合計一時間の有酸素運動をおこなうのでは、脂肪の代謝量がまったく同じという結果がでています。私たちの研究では、むしろ、休みを入れたほうが、脂肪の代謝が高くなるという結果になりました。これは休んでいる間にも脂肪はずっと燃えているので、トータルとしては、燃焼させている時間が長くなるからです。今度は、その筋トレのあとの有酸素運動において、あなたにとってふさわしい運動方法を探ってみましょう。

有酸素運動にも、個人個人にふさわしい負荷というものがあります。まず、ポイントになるのは、「最大酸素摂取量」という指標です。加齢によって筋肉が減ることはもうすでにおわかりの通りですが、同時に体が酸素を取り込む能力も衰えます。

体に取り込むことができる最大の酸素量を「最大酸素摂取量」といいます。これは体の肺活量と言い換えることが出来ます。当然この数値が高いほど、有酸素運動に強い体と言うことになり、マラソンランナーは普通の人の倍の数値を出します。